女性の方が賢いから、認知テストで補正しないと、正確な診断ができない?

 あまり知られていないのかもしれませんが、認知機能テストを行うと、特に高齢者では男女差が認められ、女性の方が成績がよくなります。我々が地域で行った千人ほどの調査でもそうでした。特に言語記憶系のテストでは、もともと女性の方が成績がいい傾向にあるので、「あ」のつく言葉をできるだけあげなさい、とか、単語を10個くらい覚えて後で思い出してもらうテストでは、男性は軽い絶望感を味わうことも少なくありません。
 ↓は、だからアルツハイマー病の診断で認知機能テストを使った評価を行う場合には、注意が必要だし、テスト成績の補正が必要ないのではないかというもの。カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)のErin Sundermann氏らの研究。
 平均年齢73歳の1,300人超(約250人はアルツハイマー病、670人は記憶障害などを含む軽度認知障害(MCI)、390人は思考や記憶の障害なし)を対象。15個の単語を見た直後と30分後に思い出す言語記憶テストを使用。脳PET検査でグルコース代謝を測定。グルコース代謝障害はアルツハイマー病の特徴でもある。
 結果、PETでは同程度の障害であっても、女性の言語記憶力は男性よりも優れていたというもの。女性のほうが障害があっても脳の力で補う「認知的予備力」が高いのではないかとのこと。
Female advantage in verbal memory: Evidence of sex-specific cognitive reserve.
Neurology. 2016 Oct 5; pii: 10.1212/WNL.0000000000003288.
Erin E Sundermann, Pauline M Maki, Leah H Rubin, Richard B Lipton, Susan Landau, Anat Biegon

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