健全遊技の推進こそ、遊技業界の役割だと思います

健全遊技の推進こそ、遊技業界の役割だと思います https://www.nichiyukyo.or.jp/news/news.php?news_id=1071
 本稿では、「パチンコ・パチスロ遊技にかかわるギャンブル等依存症うたがい」(以下、依存症うたがい)についての全国実態調査や、その要因についてのパネル調査(同じ人で繰り返し調べていく調査)を実施してきた、社会安全研究財団の遊技障害研究会最終報告のまとめを行う。次に日遊協の独自調査、出玉性能、広告宣伝、イベント参加等と依存症うたがいの関連について報告する。またコロナ禍で依存症うたがいのリスクが低下していたらしいことを示し、健全遊技を広めることが責任ある遊技の推進に重要であることを述べる。最後に、ホール研究を交え、健全遊技の推進の有効性を述べる。
本稿では法律用語に沿って、パチンコ・パチスロは「ぱちんこ」と表記する。依存問題防止研究会等では、ぱちんこ関連のギャンブル等依存症は、カジノ等でのギャンブル障害での知見が当てはまらない事象も多く、そもそも「ギャンブル依存症」という言葉は世界的に使われていないので、「パチンコ・パチスロ遊技障害」または「遊技障害」を使っている。しかし、国の法律用語になっているので「ギャンブル等依存症」という言葉を使う。ここでいうギャンブリングは、何かを得るために何かを賭ける行為全般をさす。また「依存症」という言葉の生み出すスティグマを避けるべきとのギャンブリングスタディーズ(ギャンブル障害関連の世界的著名科学誌)からの指摘を受け、長々しいが「うたがい」を多用する。
本稿の記述スタイルは見やすさと後からの教育的利用を考慮して箇条書きとした。

日工組社会安全研究財団遊技障害研究会最終報告まとめ
❤ ぱちんこでの依存症うたがいは0.4%、40万人。2017年以前の報告は過剰であったと考えられた。
🉑 ギャンブル等依存症うたがいは過去1年で調べるのが世界標準であり、変化をとらえるなら生涯のどこかの時点での問題を議論しても意味がないので、過去のギャンブル等依存うたがいの発表方法は適切ではない。またそのボリュームも疑問。
🉑 「日本はギャンブル等依存症が多い」との表現が横行したが、適切な補正を行っての比較では諸外国並みであった。
🉑 「ギャンブル等依存症」イコール「マスコミ紹介事例、回復支援施設事例」のような報道は間違いであった。DSM-5基準にのっとれば、「パチンコ・パチスロが気になって仕方ない」「ストレスから逃れるために必要だ」が「どちらかといえば当てはまり」、「使う金額増えた」「やめると落ち着かなくなる」「うそ」「借金を頼む」は「ほとんどない」レベルから「ギャンブル等依存症うたがい」となる。
🉑 ギャンブリング障害の基準は流動的なので「依存症か否か」「障害か否か」「何人が依存症うたがいか」という区分に意味はなく、一般ユーザーからの連続体でとらえ、ギャンブリングの害の最小化、便益の最大化を目指すのが世界潮流であり、論文ではそうした評価法が求められている。

❤ ぱちんこでの依存症うたがいの要因に性格なども関連する
🉑 全国調査から明らかになった、ぱちんこでのギャンブル等依存症うたがいの大きな関連要因は、「パチンコ・パチスロのための現在の借金」「パチンコ・パチスロのための債務整理体験」「月の負け額」「勝ち負けにかかわらず上限に達したら遊技を控える」「自由時間以外に遊技をしない」であった。
🉑 依存症うたがいのパーソナリティ関連の促進要因として最も強く、かつ長期的な影響を及ぼしているのは神経症傾向であり、特に不安、抑うつ、衝動性が強い影響を及ぼしており、ストレス・イベントと結びついた高い刺激希求も長期的な影響を及ぼしていた。
🉑 「認知の歪み」も影響し、特に大きな影響を持つのは「ギャンブリングを自分で止めることができない」という認知であった。遊技はコントロールできるし、そうしていくという認知・行動を広めることが業界の依存対策として重要。
❤ ぱちんこでの依存症うたがいは二タイプある。
🉑 障害レベルが軽度の人たちに多い、外向性・開放性・調和性・誠実性を特徴とする「習慣優位型」
🉑 中等度から重度の障害レベルの人たちに多い、神経症傾向を性格特性とする「逃避優位型」
🉑 欧米に多く犯罪と結びつきやすい衝動型は日本では少ない。
❤ 遊技にのめり込む人たちにとって、スマホ・ネット、ゲーム、メール・SNS などがパチンコ・パチスロに代わる対処行動として利用出来る可能性がある。
❤ 依存症うたがいのデータの分析からは、重要なのは予防対策であり、とくに遊技をする人たちに「自由に遊べる時間で遊びましょう」というメッセージを伝えることが重要であること、また、個人のパーソナリティ特性など遊技障害の高リスク群があることが明らかになったことから、高リスク群を特定して健全な遊技の必要性を伝えるメッセージを届ける仕組みをつくる必要がある。
❤ 日本でも「責任あるゲーミング」概念(最後尾Renoモデル参照)に沿った対策を推進する必要がある。

日遊協依存問題防止研究会調査まとめ
❤ 出玉性能、広告宣伝、イベント参加は依存症うたがいの要因になっていない。
🉑 3年にわたる因果研究から、高い出玉性能の遊技機使用が依存症うたがいのリスクを増す原因になるとはいえなかった。
🉑 3年にわたる因果研究から、広告宣伝の視聴、イベント参加がパチンコでの依存症うたがいのリスクを増す原因になるとはいえなかった。
🉑 さらなる研究が必要なものの、演出による射幸性は依存症うたがいを増すこととかかわらなかった。
🉑 一方でミドル機、ARTは使用額を増しうるので営業的には強化が必要と思われた。
🉑 YouTubeなどの動画サイト、店舗サイト、SNS広告、インターネットバナー広告をよく見てもらうことは使用額を増す。テレビ番組、雑誌広告、旧イベントは使用額を増す可能性がある。ダイレクトメール、新台入れ替え、CM(当時レベルの)は使いようかもしれない。
❤ この1年でパチンコでのギャンブル等依存症うたがい得点が低下した。⇒コロナ禍で依存症うたがいが増加したとは推測しにくい。
❤ 健全なプレイ(費用把握、金額制限、時間制限)をしていると、依存症うたがいの程度が低いという関連がみられた。⇒因果研究へ、広告宣伝を広げても健全遊技の推進で依存症うたがいのリスクが増さないことを示していきたい。

一般論、ホール研究まとめ
❤ ギャンブリング障害の50%は遺伝要因で説明できる。
🉑 パチンコでのギャンブル等依存症うたがいの性格要因である、抑うつ、不安、衝動性の高さ等の30-50%は遺伝要因。
🉑 うつ、不安障害、発達障害、反抗挑戦性障害などの併存障害も遺伝要因が強い。
❤ 不快は快の3倍。「ぱちんこ」の快だけではバランスの一方的な偏りは起きにくい。むしろ離脱していく。「暮らし」「仕事」「学習」に楽しさが見いだせない、不安が強い、抑うつが強い、衝動性が強い、生きづらい。⇒そのバランスにぱちんこを利用している⇒健全遊技で、もっとうまく使ってもらう
❤ 「楽しい、快感」で「依存」は誤解。習慣優位群は軽度。家族関係、収支バランスでも「楽しい」「満足」を目指してもらう。
🉑 「先月、パチンコ・パチスロに使ったお金について、家族もしくは友人に対して嘘やごまかしはなかった」
🉑 「先月パチンコ・パチスロに使ったお金は、失っても構わない範囲で済んだ」
🉑 「先月は、自分自身をコントロールして、パチンコ・パチスロを打っていたと思う」
🉑 「先月、パチンコ・パチスロを打つ前に、どこまでお金を使っても良いか、決めてから打ち始めた」
の4項目で依存リスクの75%ほどが説明。上記を含む健全遊技項目を広めることがだいじ
❤ 会員データでは現金投資額など遊技量はほぼ依存症うたがいに無関係、射幸性は十分すぎるほどコントロールされていると考えられ、健全遊技の推進(個人の責任を踏まえる、自分をコントロールする、うそをつかない、ぱちんこについて間違った理解をしない)で依存うたがい得点を低下させうる(図はパス図といい、矢印が関連の仕方を、数字がその強さを示す。PPDS合計点が依存症うたがいのリスク点)。(パス図割愛)

❤ 従業員にたいしても健全遊技の推進で十分に対策ができる(パス図割愛)


❤ ギャンブリングにおけるRenoモデルのぱちんこ版のような指針が必要
🉑 ぱちんこ遊技は個人の選択と責任である
🉑 事業者は、プレイヤーが適切な選択ができるよう、正確な情報を提供する
🉑 安全なぱちんこプレイは可能だし、ほとんどの人はそのように遊んでいる
🉑 高リスクの人にとっては、ぱちんこが自身や家族に大きな害となりうる
🉑 ぱちんこ遊技での問題を減らすのに、断ぱちんこは必須ではない
🉑 ぱちんこで問題が生じているプレイヤーでも、参加の制御は可能である

以上、今後の依存防止対策に役立てていただければ幸いです。

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