幼児期から子ども期の誠実性はだいじらしい

誠実さはだいじらしい
幼児期から学童期にかけての「誠実性」が高いと失業しにくかったり、年収が高かったり、健康であったり、パートナーとの関係がよかったり、そうなりやすいことが、いくつかの数十年に及ぶ、それぞれ1000人を超える縦断的研究(同じ人を追跡する研究)で明らかになっています。

誠実さはどんな項目で測定されるのか?
では誠実性とはどういったものでしょうか。どういう項目で調べられているのでしょうか?
NEO-FFIというビッグファイブ性格尺度の短縮版では、「誠実性」は、「秩序正しさ」「良心性」「達成追及性」「自己鍛錬性」からなります。具体的な項目を紹介します。
〇持ち物はきちんとし、きれいにしている
〇几帳面だ
〇人は私のことを、きちんとした人間だと思っている
・・・これが「秩序正しさ」です。
〇割り当てられた仕事を、すべてきちんとやるよう努めている
〇人の期待にそったり、約束を守ったりする
〇必ず最後までやり通せる見通しがたってから、仕事をひきうける
・・・これが「良心性」です。
〇明確な目標を持っており、それに向かって整然としたやり方で取り組んでいる
〇自分の目標を達成するようにがんばる
〇やることすべてにおいて、こころざしを高く持ってがんばる
・・・「達成追及性」です。
〇時間どおりに物事をやり終えるよう、自分のペースを守るのが得意だ
〇身を入れて仕事を始めるまでに、時間がかからない
〇バリバリと仕事をやって、それをやり遂げる
・・・「自己鍛錬性」です。
目先の欲望に負けず、比較的長期的視点に立って物事を成し遂げようとする性格傾向です。

こうならべると。。。
ああ、これは、わたしが子どもにこうなってほしいと思っている性格だ、と思われた方が多いと思います。そして、その方向性の正しさが、いくつかの縦断的研究で明らかになっているわけです。
一方で誠実性を高めるのはなかなかに困難です。たとえば、双子研究から誠実性の40%は遺伝要因で説明されることが知られています。また、残り60%の環境の影響は双子を似せる方向には働かず、似せない方向に働いています。家庭環境を調整することで、子どもたちの誠実性を同じように高めることは困難なのです。別の言い方をすれば、普通に育てている分には誠実性が変わることはほぼない、そのぐらい現代の平均的な家庭は子どもたちをちゃんと育てているのです。

子ども期の介入は有効
 誠実性を高めるようなプログラムは成人用から子ども用までいくつか作られ、その効果が検証されています。それによれば、成人期以降の効果は乏しいようです。これは思春期以降老年期に至るまで、誠実性が高まっていく傾向があるためであるとも考えられています。
一方で、子ども期の介入はおおむね効果を示します。これは子ども期から青年前期まで、誠実性は徐々に低下していくので、子ども期での介入がその低下を抑制しうるためと考えられています。
そう難しい話ではありません。上記の各項目につながるような行動をこまめにほめればいいのです。そうすると誠実さにつながる行動を見つけ、続けるやる気が育ちます。

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