目は物を見た瞬間は、さかさまと知りました。その後どうしてそのままにならないで、またもとの向きに戻るのですか?

そのとおりだね。眼球はレンズなので、網膜といって目の奥にある膜、光に反応して電気信号を出す細胞なんだけど、ここの位置関係では左右上下が逆転しています。上からの光は下の方に、下からの光は上に、それから、右からの光は左に、左は右の網膜の方に写るのね。
で、視細胞からの信号、視細胞はいっぱいあるから、たくさんの信号が脳の後ろの方に入る。そこから「これなんなの」ルートと、「これどういう位置関係にあるの」ルート通って、それを前頭葉でまとめて見ているの。
だから、どこで上下の向きを戻すのかに答えると、脳で戻す、ということになります。といっても、戻すというより、外の世界に合わせた見え方を創る、作り直すといった方が正しいですかね。

ちょっと話は違うけど、人工知能AIって聞いたことありますか。
あれって画像認識ができたりします。イヌはイヌ、ネコはネコ。ちゃんと分類します。
人の脳、特に後頭葉、視覚野の層状に重なった仕組みに似たものをコンピュータの中に作って、イヌやネコの画像をたくさん読ませ、これはネコ、これはイヌと学習させていく。たくさんね。するとあら不思議。このAIは犬猫の分類ができるようになるのね。雑な言い方だけど。
で、この学習の時、いっぱい学習させないといけないんだけど、写真が足りない。そういう時はその写真の角度を変えたり、まわしたり、反転させたり、いろいろ加工して数の水増しをするの。上下左右を無視してそのものが何かを理解するところに、AIや脳のすごさがあるわけね。これが、さっきの「これ何なの」ルート。下側。
で、これとは別に、それぞれの位置関係などを理解していくルートもあって、これ上側。これらをまとめて、たとえば今、おかあさんは右を向いてるとか判断します。脳はね。
そういう意味で、網膜での上下左右の逆転をもどすっていうより、脳の中で作り直すのね。
上下左右を無視して、たとえばネコならネコ、おかあさんならどっち向いていても、鏡にうつっていてもおかあさん、ってわかる。その上で位置関係を足していくのね。
いいですか。

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