信州ダービー、あれこれ

サッカーの信州ダービーが2週続けて行われました。
両チームのサポーターは相当燃えるようで、かなりの観客動員(特にJ3リーグ戦はほぼ満席)になります。県内マスコミもかなり煽っているところはありますが、長野市と松本市の因縁的な歴史も絡み?だいぶ盛り上がります。

そうですよね。わたしも諏訪地方出身で、そうあおられるとその気になりそうになります。
小さい頃はそんなことを考えたこともなかったですが、分県運動とか信濃の国合唱県議会とか、北南格差とか、予算がとか、大学配置が、とか色々聞かされるうちに、妙なナショナリズムというか、地域主義みたいなのが刷り込まれてきているように思います。
自分の所属に対する愛着はオキシトシンという絆ホルモンに由来すると考えられますが、オキシトシンには内集団(自分が所属する集団)以外の外集団(所属外)を排他する働きがあり、それで余計に絆を深めるので、この力動は当然といえば当然なのかもしれないですね。

ただし、両チームの選手は、長野県出身者は少数で、大半は長野県と縁もゆかりも無い人たちばかりです。
そこで、そういった選手は実際、ダービーは燃えるものなのかどうか?
元々は年間何試合もあるうちの1試合と捉えていた選手も、こういった雰囲気を感じて火が付くということはあるのでしょうか?

チームに対する所属意識、ロイヤリティで燃えると思います。
ヤンキーズとレッドソックスとか、阪神巨人とか、ダービーマッチとか、そのチームに所属したことで地域的所属感より強いかもしれません。とくにダービーマッチは地元愛+他者排斥なんで。

サッカーに限らず様々な事象において、最初は冷めていても、周りの他の人たちが熱い雰囲気を醸成することで、当事者たちのやる気やボルテージは上がるものなのでしょうか?

 周りの熱狂で自分も熱狂していく現象は、誰でもではないですが起きます。
 昔は、自分がその動作をするときも、その動作を見るときも活動するミラーニューロンという特化した細胞群で説明していましたが、今や、ほとんどのニューロンというかニューロンネットワークはミラーニューロン的、自分がその動作をするときも、その動作を見るときも活動すると考えるようになってきています。
特にやる気や興奮にかかわる報酬系は他者や周囲の評価の影響を受けやすいので、周りの熱狂やうつうつした感じはある程度「伝染」します。他者の気持ちの推定には、自分がそういう気持ちを出力する時の回路が使われるので、その回路が強化されてしまうようです。

 進化生物学的には生物集団はそうしたほうが生き残りの利得や生殖の利得が高いと考えています。
 もちろん、集団力動としては、そこに一定の冷めた人がいることは必要ですが。


この記事へのコメント

ぼーいロミオ
2023年06月14日 22:06
先生はじめまして。
NHKのラジオから嵌ってしまいご著書を収集しています!

質問なのですが「自尊心とワーキングメモリ」の関連について気になっています
私は仕事柄、不登校や引きこもりや発達障がいや境界知能の方の
支援をする事が多いのですが、自尊心・精神年齢・ワーキングメモリの低さが
同時に観測出来る場合が多くて気になりご質問させていただきました。
あくまで素人の私見でしか無いのですが
どうもワーキングメモリが自尊心の形成・高低や精神年齢(発達年齢)の進行水準を
かなりの程度支配しているのでは?と思っています

もしそうであればワーキングメモリを鍛えるトレーニングにより
彼らの自尊心・精神年齢を発達させる事が出来るのでは?と思い
なんとかしてより良い支援を行えるようご教授を頂きたくご質問させていただきました。

もし、先生のご著書でこの事について言及されている書籍がありましたら
教えていただければ即座に購入致しますのでどうかご連絡お願い致します。