頭を使うとやせる?

将棋の藤井総太さんが高山村の藤井荘で名人を奪取し、7冠を達成したことが大きな話題になりました。
対局中はほとんど動くことがなく、それでいて割としっかりとした食事をとり、さらにお菓子も食べるのによく太らないなと・・・
普段節制しているということかもしれませんが、今回の藤井さんもそうですし、相手の渡辺さんも、谷川さんも羽生さんも太っていません。
「プロ棋士のように超人的に頭を使う人は、カロリーを相当消費しているから太らないのかね?」という話になったのですが、実際にそういうことはあり得るのでしょうか?
(極端なことを言うと、運動をしなくとも頭を使っていればダイエットになるのでしょうか?)

むかしの大山名人とかはまあまあ太ってましたし、伝説の村山聖とかも太ってはいたな。
永瀬王座はダイエット宣言してたし。
痩せて見える棋士がまあまあメタボだったりするらしく、棋士を対象にした運動講座を展開しようとしているグループがあって、運動+食事+脳トレで棋力アップとか狙いたいと、昨年、相談を受けました。

さて超人的に頭を使う棋士の脳のカロリー消費です。
よく知られているように、脳は体重の2%程度の重さにもかかわらず、エネルギーは20%程度消費する大食いです。
普通の男性のカロリー消費は2500~2700キロカロリーですが、脳が20%使うというときのカロリーは基礎代謝のことなので、だいたい1700~1900キロカロリーの20%。
つまり、340~380キロカロリーを脳が使うわけです。
これってジョギング1時間くらいですからすごいといえばすごい。毎日これなら痩せそう。
ただこれ、ぼーっとしていても脳が消費する分を考えないといけない。
実は、一生懸命考えているときと、ぼーっとしているときの差はそんなに大きくない。ぼんやりしているときでも70%くらいは消費している。つまり、一生懸命考えることで消費する分は、せいぜい100カロリーくらい。
これは散歩一時間くらいだし、普通の人だってまあまあ頭を使っている時間は長いから、棋士と普通の人の差はせいぜい20カロリーくらい。
それに、安静時の脳活動はデフォルトネットワークといって、脳の「内側前頭前野」「後帯状皮質」「楔前部(けつぜんぶ)」「下頭頂小葉」が働いている。このネットワークで、ぼんやりと記憶探索したりそれをつなげたりする働きをしている。実はひらめきはこの時におきやすいから、棋士はずっと必死で考えているようで、ちゃんとデフォルトネットワークを使っていると思われる。
するとますます、普通の人の脳の消費と棋士の消費の差は縮まる。
それでもチリも積もればですが、座っている分、立ったり歩いたりしている人の方が消費カロリーは大きいので、差は微々たるものになっていると思いますよ。
たまに棋士は一日で数キロ減るとかいいますが、大概は水分減少です。マラソンとかもですが。
なので水分の摂取、大事です。

一方、一般的な常識として「頭の栄養は糖分」と言われますが、
対局中に甘いおやつを食べることはやはり効果があるのかどうか?

糖分摂取は役立ちます。実は口に入れただけでも。
栄養として効くより、ドーパミン系の反応のせいでパフォーマンスがあがります。
身体のパフォーマンスでも。

また、対局中にガッツリ食べてしまって、(眠くなるなど)逆に集中力をそがれることはないのか・・・

がっちり食べても眠くならない、急な血糖値上昇とその後の低下が起きにくいように、健康には気を使っているようですし、筋肉をつけようとしている人もいるようです。
長時間座位でいられること、姿勢を保つこと、などが認知機能に、とくに長期戦になった時に影響を与えることは案外知っていて、体には気を使っています。

この記事へのコメント

2023年06月17日 00:27
コトタマ