人はどうして寝ないといけないのですか?

人はどうして寝ないといけないのかですけれど、寝ることが身体や脳、こころの健康にとって必要だからです。
具体的には、寝ている間に体や脳の細胞の修復と回復が行われます。それから、成長ホルモンが分泌されます。(成長ホルモンは、脳の下部に位置する下垂体前葉から分泌されるタンパク質質のホルモンです。)このホルモンは、骨の成長を促進し、筋肉の増加、脂肪の分解を促し、体内の糖やタンパク質の代謝にもかかわります。
もし寝なければ、修復や回復が行われにくく、健康を害してしまいます。皆さん方くらいの年齢だと成長もしにくくなります。寝ない記録としては11日間がギネスにのっていますが、ずっと寝ないというのは不可能で、睡眠を促す物質がかってに増え、寝てしまいます。
 寝ることの役割としておもしろいのは、勉強したこととか、昼間学んだことの整理と固定が、睡眠中、とくに深い睡眠中に行われます。だから、何かを覚えるときには何日かかけないと、しっかりは覚えないんですね。一夜漬けだと、睡眠回数が少なくて記憶の定着が進みにくいのです。
 面白いことに、この睡眠中の記憶の定着など、学習しているわけではない時に脳が勝手に学習を進める学習をオフライン学習と言いますが、このオフライン学習、褒められたときの方がすすむようです。出来れば一人より二人、多くの人に褒められた方がいいようなので、家の人や周りの人には褒めてくれるようにお願いしておいた方がいいですね。これいわゆるお勉強的な学習だけではなく、スポーツとか運動のスキルとかでも同じようなので、大谷さんなんて余計に上手になっていっているのかもしれないですね。
 (歳をとると睡眠時間が短くなっていくことがあります。やたら早起きになったり。このときに深い眠りが減るのですが、これが記憶力低下の原因の一つだとも言われています。また睡眠中にアルツハイマー病の原因物質アミロイドβが洗い出されたりしますが、これが少なくなるとアルツハイマー病のリスクが上がるんじゃないか、とも考えられています。)
 ほかにも寝不足になると、力が出なくなったり、気力が続かなくなったり、記憶力が低下したり、わからないと思いますが、ひどい二日酔いと変わらない程度の身体や脳の具合になってしまいます。怒りっぽくなったり、無気力になったり、免疫力が落ち病気になりやすくなったりします。
 ということで睡眠は必要です。

 睡眠に関してちょっと面白いのは、生き物はそもそも寝ている状態が普通という考え方です。生物の活動状態(覚醒している状態)は、エネルギーを大量に消費し、生存に必要な資源を探求するための一時的な状態。その一方で、休息や睡眠の状態は、エネルギーの消費を抑え、体の修復や成長、記憶の整理などの重要な生理的プロセスを行う基本的な状態というわけです。この考え方には、単細胞動物でも一種の周期性、昼夜リズムなどを持つので、両方あるのが普通だろうというツッコミがありますが、そのくらい睡眠というのはだいじだと考えてください。

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