ギャンブリングに対する議論はずいぶん前からこんな感じです
現在のギャンブリングに対する議論はずいぶん前からこんな感じです。「病気です」キャンペーンの日本とちょっと違います。
ギャンブリング産業による負の影響の抑止対策は、Responsible Gaming(RG:責任あるゲーミング)と呼ばれている(Blaszczynski, 2004)。
RGには、顧客保護、従業員教育、環境整備と規制、広告の規制、治療の紹介、ステークホルダーの連携、研究と検証などが含まれる(Ladouceur, 2016)。その対策は障害レベルの人を対象とした治療的アプローチよりも対象者の幅が広い。①プレイヤーではない一般の人たちへの予防や啓発、②一般のプレイヤーに向けた啓発や教育、③潜在的に問題化しやすいプレイヤーの同定、④潜在的に問題化しやすいプレイヤーへの啓発や教育、問題化防止のサポート、⑤問題が既に生じているプレイヤーの早期発見や対応方法、⑥これらを可能とする戦略の立案や人材育成および従業員教育の実践、⑦地域社会や対策関係者などのステークホルダーとのコミュニケーションと協働などである。
わが国でも、2019年のギャンブル等依存症対策推進基本計画、2022年の見直しと産業側の対策が進んでいる。ぱちんこ産業での取り組みの抜粋を参考として示した。
〇リカバリーサポート・ネットワーク(RSN:パチンコ・パチスロ電話相談機関)が2006年、遊技業界がのめりこみ問題に取り組み、社会に役立つサービスを提供するために設置された。その啓発ポスターは全店舗、落ち着いて見れるようにトイレなどに貼られている。
〇RSNが従業員を教育する「安心パチンコ・パチスロアドバイザー」制度を設置。2022年3月現在、約4万1000人のスタッフが講習を受講、さらに増員をはかっている。
〇「パチンコ・パチスロは適度に楽しむ遊びです。のめり込みに注意しましょう」など共通標語を設定し、すべての宣伝広告で一定のスペース、時間を確保するなど、広告宣伝イベントなどを規制している。
○ 遊技時間や金額の制限ができる自己申告・家族申告プログラムを開発。その普及と利用促進に向けた広報の取組を強化している。
〇射幸性を抑制するため、出玉状況を管理できる機種の導入を行っている。
○5月14日から5月20日のパチンコ・パチスロ依存問題の啓発週間含め、年間を通じて、青少年含め一般に依存問題に関する普及啓発活動を推進している。
○ 遊技者の家族に対し、早期に相談支援につながるよう普及啓発活動を推進している。
○ 健全な遊技の在り方に関する情報発信に向けた検討を開始、スマートPlayスタイルを推進することとし、上限を決めて遊ぶ、自由にしていい時間で遊ぶ、周囲に隠さず遊ぶ、を自己申告プログラム、家族申告プログラムのパンフレットとともに配布を始めた。
〇 自助グループをはじめとする民間団体等に対する経済的支援を実施し、毎年度、実績報告書を作成・公表している。
〇業界の取組について評価・提言を行う第三者機関を設置して、評価を実施。
〇第三者機関(一般社団法人遊技産業健全化推進機構)による依存防止対策の立入検査。
RGでは、科学的であること、エビデンスベーストであることが重視されており、日工組社会安全研究財団、日本遊技関連事業協会、都遊協などでいわゆる依存問題の実態調査や関連要因の調査を行っている。
ギャンブリング障害報道をめぐる留意点
ICD‐11は2022年2月、診断のための必須要件を厳密に記載し、これまでの調査が主張するギャンブリング障害疑いよりも、一層限定的になった。メディア報道等で、ICD-11の基準を示しながら、その要件に当てはまらない尺度を用いての障害疑い率や障害疑い数を示すことはミスリードになる。
ICD-11基準では「Hazardous Gambling or betting」にあたるユーザーがギャンブリング障害であるかのようにカウントされてしまうからだ「うたがい」と拡張的な表記をするからOKというわけにはいかない。ICD-11の基準を示して「障害疑い率」を扱うのなら、その要件に当てはまらない尺度での率や数を併記することは避けるべきである。
ギャンブリング産業による負の影響の抑止対策は、Responsible Gaming(RG:責任あるゲーミング)と呼ばれている(Blaszczynski, 2004)。
RGには、顧客保護、従業員教育、環境整備と規制、広告の規制、治療の紹介、ステークホルダーの連携、研究と検証などが含まれる(Ladouceur, 2016)。その対策は障害レベルの人を対象とした治療的アプローチよりも対象者の幅が広い。①プレイヤーではない一般の人たちへの予防や啓発、②一般のプレイヤーに向けた啓発や教育、③潜在的に問題化しやすいプレイヤーの同定、④潜在的に問題化しやすいプレイヤーへの啓発や教育、問題化防止のサポート、⑤問題が既に生じているプレイヤーの早期発見や対応方法、⑥これらを可能とする戦略の立案や人材育成および従業員教育の実践、⑦地域社会や対策関係者などのステークホルダーとのコミュニケーションと協働などである。
わが国でも、2019年のギャンブル等依存症対策推進基本計画、2022年の見直しと産業側の対策が進んでいる。ぱちんこ産業での取り組みの抜粋を参考として示した。
〇リカバリーサポート・ネットワーク(RSN:パチンコ・パチスロ電話相談機関)が2006年、遊技業界がのめりこみ問題に取り組み、社会に役立つサービスを提供するために設置された。その啓発ポスターは全店舗、落ち着いて見れるようにトイレなどに貼られている。
〇RSNが従業員を教育する「安心パチンコ・パチスロアドバイザー」制度を設置。2022年3月現在、約4万1000人のスタッフが講習を受講、さらに増員をはかっている。
〇「パチンコ・パチスロは適度に楽しむ遊びです。のめり込みに注意しましょう」など共通標語を設定し、すべての宣伝広告で一定のスペース、時間を確保するなど、広告宣伝イベントなどを規制している。
○ 遊技時間や金額の制限ができる自己申告・家族申告プログラムを開発。その普及と利用促進に向けた広報の取組を強化している。
〇射幸性を抑制するため、出玉状況を管理できる機種の導入を行っている。
○5月14日から5月20日のパチンコ・パチスロ依存問題の啓発週間含め、年間を通じて、青少年含め一般に依存問題に関する普及啓発活動を推進している。
○ 遊技者の家族に対し、早期に相談支援につながるよう普及啓発活動を推進している。
○ 健全な遊技の在り方に関する情報発信に向けた検討を開始、スマートPlayスタイルを推進することとし、上限を決めて遊ぶ、自由にしていい時間で遊ぶ、周囲に隠さず遊ぶ、を自己申告プログラム、家族申告プログラムのパンフレットとともに配布を始めた。
〇 自助グループをはじめとする民間団体等に対する経済的支援を実施し、毎年度、実績報告書を作成・公表している。
〇業界の取組について評価・提言を行う第三者機関を設置して、評価を実施。
〇第三者機関(一般社団法人遊技産業健全化推進機構)による依存防止対策の立入検査。
RGでは、科学的であること、エビデンスベーストであることが重視されており、日工組社会安全研究財団、日本遊技関連事業協会、都遊協などでいわゆる依存問題の実態調査や関連要因の調査を行っている。
ギャンブリング障害報道をめぐる留意点
ICD‐11は2022年2月、診断のための必須要件を厳密に記載し、これまでの調査が主張するギャンブリング障害疑いよりも、一層限定的になった。メディア報道等で、ICD-11の基準を示しながら、その要件に当てはまらない尺度を用いての障害疑い率や障害疑い数を示すことはミスリードになる。
ICD-11基準では「Hazardous Gambling or betting」にあたるユーザーがギャンブリング障害であるかのようにカウントされてしまうからだ「うたがい」と拡張的な表記をするからOKというわけにはいかない。ICD-11の基準を示して「障害疑い率」を扱うのなら、その要件に当てはまらない尺度での率や数を併記することは避けるべきである。
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