行動系のハマり問題を薬物系とごっちゃにする議論はあやしい

たとえばアルコールではdependence(依存)がいまだに使われており、アルコール依存症の診断必須要件は以下。
以下のうち2つ以上によって示されるアルコール使用の調節障害の証拠を伴う、再発性のエピソード的または継続的なアルコール使用のパターン: アルコール使用のコントロール障害(すなわち、アルコール使用の開始、頻度、強さ、持続時間、終了、状況);健康維持、日常生活や責任など、生活の他の側面よりもアルコール使用の優先順位が高くなっており、害や否定的な結果(例えば、度重なる人間関係の混乱、職業上または学業上の結果、健康への否定的な影響)が生じているにもかかわらず、アルコール使用が継続または拡大している;以下を含む、物質に対する神経適応を示す生理学的特徴: 1)アルコールの効果に対する耐性、または同じ効果を得るためにアルコールの使用量を増やす必要性、2)アルコールの使用を中止または減らした後の離脱症状(「アルコール離脱」を参照)、または3)離脱症状を予防または緩和するためにアルコールまたは薬理学的に類似した物質を繰り返し使用すること。依存の特徴は通常、少なくとも12ヵ月間にわたって明らかになるが、少なくとも3ヵ月間、継続的(毎日またはほぼ毎日)な使用があれば診断できる。
一方、たとえば、ギャンブリングにはdependennceはなくギャンブリング障害。その必須診断要件は以下。
持続的なギャンブル行動パターンで、主にオンライン(すなわち、インターネットまたは類似の電子ネットワーク上)またはオフラインである可能性があり、以下のすべてによって明らかになる: ギャンブル行動のコントロール障害(例:開始、頻度、強度、持続時間、終了、状況);ギャンブルが他の生活上の興味や日常活動よりも優先される程度にギャンブル行動の優先順位が高まっている;否定的な結果(例:ギャンブル行動による夫婦間の対立、度重なる多額の金銭的損失、健康への悪影響)が生じているにもかかわらず、ギャンブル行動が継続またはエスカレートしている。ギャンブル行動のパターンは、継続的であったり、エピソード的で再発的であったりするが、長期間(例えば12ヶ月)にわたって現れている。ギャンブル行動は、他の精神障害(例えば、躁病エピソード)では説明できず、物質や薬の影響によるものでもない。ギャンブル行動のパターンが、個人的、家族的、社会的、教育的、職業的、またはその他の重要な領域において、重大な苦痛または機能障害をもたらしている。
似ているように見えるけど、薬物系は「健康維持」が記載され、物質自体の健康障害性が仮定されている。一方で、ギャンブリングやゲーミングでは、その行為自体の健康障害性は仮定できず、結果、個人的、家族的、社会的、教育的、職業的、またはその他の重要な領域において、重大な苦痛または機能障害をもたらしている、といった生活障害や苦痛の発生そのものに重点を置いている。単にハマることだけでは障害と呼べない。また、
Bipolar type I disorder(6A60)
Bipolar type II disorder(6A61)
Hazardous gambling or betting(QE21)
が除外項目となっており、従来の依存症疑いはほぼHazardous gambling or betting、またはそれ以下。

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