カラス賢い

大脳新皮質から集団サイズを推定するダンバー数
実際はREN(相対的新皮質指数:新皮質容量/(脳容量-新皮質容量))から回帰式で推定します。
人間150、チンパンジー約50、ゴリラ約30、カラス30~50、イルカ15~20、オオカミ約8
カラス(鳥類)では2008年まで大脳新皮質がない、基底核がむき出しになっているなどといわれていましたが、それはワルスターゲン核(NCL)で大脳新皮質に相当するとされています。
恐竜もまあ、一緒

ダンバーの社会脳仮説は、実は顔と脳が共進化によるという内容を含みます。今日はその実証をしたという論文。
The Social Face Hypothesis Daniel N. Albohn & Reginald B. Adams Jr  Affective Science volume 3, pages539–545 (2022)
社会的な世界の要求に応えることは、非常に複雑な作業である。
人間は社会的世界を難なく操ることができるので、複雑な社会的・感情的情報を解釈し、それを伝える能力は、間違いなく進化的圧力によって形作られたものである。
ダンバー(1992)はこの仮説を検証するため、社会脳仮説を発表し、異なる霊長類の新皮質体積がその平均的な社会ネットワークの大きさを予測することを観察した。
これは、新皮質の進化が少なくとも部分的には社会的要求によって駆動されていることを示唆するものである。
この仮説は、顔が脳と共進化し、より複雑で微妙な感情・精神・行動の状態を他者に伝えるようになったというものである。
この仮説を示唆する先行研究(例:Redican, 1982)があるにもかかわらず、我々の知る限り、この仮説は実証的に検証されたことがない。
毛の薄さには積極的な意味がある。無駄だから消えたわけではない。
我々は、霊長類の顔面筋組成、顔面毛髪の有無、平均社会的ネットワークサイズ、平均脳重量のデータを、多数の霊長類属(N = 63)について入手し、最新の指標を得た。
このサンプルでは、平均脳重量が平均社会的ネットワークサイズを予測することを見出し、ダンバーの最初の観測を再現した。
また、顔面毛の薄さが集団サイズと平均脳重量の両方を予測することも明らかにした。
さらに、3つの変数が媒介となり、霊長類の社会的ネットワークの大きさ、霊長類の脳の重さ、霊長類の顔の毛の濃さの間に複雑で相互依存的な関係があることが確認された。
これらの結果は、霊長類の脳と顔は、環境による社会的要求の高まりに対応して共進化したという結論と一致する。
*毛が薄くなって長距離走ができる霊長類となり、集団狩り能力が上がった。

余談
人類が1万2千年前に、狩猟・採集社会から大規模な農耕社会へ急速に変化することができたのはなぜか。
この大きな問いに、人々を監視し罰する「ビッグ・ゴッド」の信仰の広がりが、社会の拡大に寄与したという説を提示することによって解答を試みる。
宗教は、同じ信仰を持つ人同士の結束を強め、大規模な協力を可能にしたが、ときにはその機能が集団間の対立をも引き起こしたことが、心理学・文化進化論・宗教認知科学の知見から明かされる。

原書名:BIG GODS: How Religion Transformed Cooperation and Conflict
https://www.seishinshobo.co.jp/book/b602115.html



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