一歳の弟がいます。0歳のとき、すごく泣くけど涙が出ませんでした。どうしてですか?

そうだね。生まれたばかりの赤ちゃんはよく泣くけれど、涙は出ていないよね。不思議だよね。それにしても、よく気が付いたね。
質問だけど、弟さんが涙を流していないのに気が付いたのは、弟さんが何か月くらいの時のことか、覚えている?・・・・
うん、そうだね。涙が見えてくるのは3か月くらいからかな。
実はね。0歳の赤ちゃんでも、涙は出てるんだよね。
それはね、泣いたりする時に出る涙じゃなくて、目を守るために目の表面をうるおし、目を細菌から守る働きをする涙。これは生まれてすぐの赤ちゃんでも出ています。
目が乾いちゃったり、細菌が入ったりすると困るからね。
この涙はね、まぶたの裏側から黒目の境目までの白目を覆っている膜(結膜)などに小さく、全体に分布している、副涙腺からでています。副は、生徒会長、副会長の副。涙腺の涙は涙。腺は何かを出す器官。この副涙腺が白目のところなどにたくさんあって、いつも目をうるおしています。副涙腺がうまく働かないとドライアイ、目が傷つきやすくなります。
さて、質問に戻ると、0歳の時に弟さんが涙を流せなかったのは、この副涙腺からの涙ではなく、目の上の外側になる主涙腺からの涙。
主涙腺は眼窩といって、目の周りの骨の内側にあります。こちらは、主に反射的な涙、例えば目にゴミが入ったときや、強い感情による涙を分泌します。泣くときや感動したときの涙ね。この主涙腺は3か月くらいまで未発達で涙を分泌できません。だから0歳のころは涙が出ていなかったのね。

涙は何を材料に作られているか知っていますか?
・・・実は血液なんです。血。血液から水分、電解質、タンパク質、酵素などを取り出し、涙にします。この働きをするのが「涙腺」なんですね。
水分は目をうるおします。ナトリウム、カリウム、カルシウム、塩素などの電解質は、もし水分だけだと目の細胞から水分が外に出てしまうのですが(浸透圧と言います)、電解質があるおかげでそれを防ぎます。リゾチーム、ラクトフェリン、免疫グロブリンA(IgA)などの抗菌タンパク質は細菌やウイルスから目を守ります。まらムチンという粘っこいたんぱく質が涙が均等に広がるのを助けます。
脂質は涙の蒸発を防ぎます。これはマイボーム腺から分泌されます。

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