人間の体には、毛が濃いところと薄いところがあるのはなぜですか。

たしかに不思議だよね。お父さんと毛の濃さが違うのも不思議だし、場所によって毛の濃さが違うのも不思議。どうしてなんだろうって思うよね。
　まず、おとうさんの方が毛が濃い理由からいくね。
　男性ホルモンってわかりますか？・・・男の人で出やすいホルモン。
　５，６年生になるとこの男性ホルモンが増え始めます。そうすると、声変わりしたり、のどぼとけが出てきたり、筋肉もつきやすくなったり、ひげははえたり、毛も濃くなっていきます。おとうさんはもう大人なんで、つばさくんより男性ホルモンが多く毛が濃いんですね。
　ただし、男性ホルモンによって薄くなる毛もあります。
おじさん、はげてますけど、男性ホルモンは、5α-リダクターゼという酵素によってジヒドロテストステロン（DHT）に変換されます。このDHTは、毛包にあるアンドロゲン（男性ホルモンの）受容体に結合し、毛包（毛を作り出す部分）を徐々に縮小させます。これにより、髪の毛が細くなり、毛が抜け落ちやすくなります。だれでもじゃないですけどね。

次に、場所によって毛の濃さが違う理由ですが、進化的には、頭の毛は日光から脳を保護し、わきの下や生殖器付近の毛は、摩擦を軽減し、皮膚を保護する役割を持っています。また、これらの部位の毛は、汗や皮脂の分泌と関連しており、フェロモンの拡散を助ける可能性もあります。ひざ下やひげ、生殖器周辺の毛が濃いのは、体温を保持し、寒冷な環境下での生存を助けるためとも考えられます。体毛は、体温を調節し、外部からの寒さや風の刺激から肌を守る機能があります。
こういう風に濃さが異なる仕組みですが、発毛に関わる遺伝子の分布や感受性の違いが、体の部位ごとの毛の濃さの違いを生む主な要因と考えられています。
アンドロゲン受容体（AR遺伝子）: 体の部位ごとにアンドロゲン受容体の分布や感受性が異なります。例えば、ひげや胸毛、わき毛、生殖器周辺の毛は、アンドロゲン受容体が高密度に存在し、テストステロンやDHT（ジヒドロテストステロン）と結合しやすい部位です。このため、これらの部位では毛が濃くなりやすいです。
毛包の感受性: 毛包（毛根を含む組織）の感受性も、遺伝的要因によって異なります。特定の遺伝子の変異や多型（遺伝子バリアント）が存在すると、特定の部位で毛包がホルモンに対してより敏感になるため、その部位で毛が濃くなることがあります。
まとめると、体の毛が濃い部分と薄い部分があるのは、主に遺伝子の働きやホルモンの影響によるものです。また、体の部位ごとに毛の生え方が異なるのは、進化の過程や個々の体質による違いが関係しています。