短い休憩が学習を促進する

運動学習において、練習中の短い休憩が行動の最適化を促進することが知られている。これまでの研究は数時間から数日に及ぶ長い休憩に焦点を当てていたが、最近の研究では、数秒から数分の短い休憩後に最も顕著なパフォーマンス向上が見られることが示されている。しかし、その神経メカニズムは不明だった。

本研究では、マカクザルの運動皮質の神経活動を記録し、視覚運動シーケンス学習課題を行わせる実験を実施。短い休憩中に課題関連の神経発火パターンが再活性化し、その頻度と内容が休憩後のパフォーマンス向上を予測することを発見した。特に、**皮質リップル(80–120Hzの振動)**はパフォーマンス向上と正の相関を示し、**βバースト(13–30Hzの振動)**は負の相関を示した。学習の初期段階ではリップルが優勢だったが、学習が安定するとβバーストが支配的になった。

さらに、**20Hzの経硬膜交流刺激(ACS)**を運動皮質に適用すると、再活性化頻度が低下し、パフォーマンス向上が消失した。これにより、短い休憩中の神経活動の再活性化がパフォーマンス向上の因果的要因であり、βバーストがそのプロセスと競合し、安定したパフォーマンスを維持する可能性が示唆された。

https://www.nature.com/articles/s41586-024-08414-9

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